和解交渉での注意点
ゼロ和解、減額に応じていいのか
Q、過払い金返還請求したところ、賃金業者から”双方債権債務無なし”という和解(ゼロ和解)が提案されました。賃金業者は、”裁判では時間と費用がかかるので残債務0円の和解が得だ”というのですが、本当でしょうか。
また、別の賃金業者は”過払い金の8割しか支払えない”との回答でした。過払い金返還交渉での和解基準はあるのでしょうか。
A、取引履歴が全部開示され、法定利率で引直計算をした結果、過払い金が発生している場合には、安易にゼロ和解をするべきではありません。また、和解の基準や相場は特にないため、どれくらいの減額に応じるかは、過払い金を回収するための費用、時間あるいは手間などを考慮して自分で決める事になります。過払い金返還請求において、借り手側は圧倒的に有利です。賃金業者の一方的な申し出による安易な減額に応じる必要は全くないので、強気の姿勢で交渉しましょう。
ゼロ和解とは
ゼロ和解とは、賃金業者と借り手との間で、相互に債権、債務がないこと(貸し借りがないこと)を確認して和解することです。簡単にいえば、借金も、過払い金も0円として和解することです。
しかし、引直計算の結果、過払い金が発生しているのですから、借金が0円であることは当然であり、ゼロ和解とは、即ち、過払い金返還請求権の放棄を意味します。
また、取引履歴が全部開示されていない段階で、賃金業者からゼロ和解の提案がされる場合は、確実に過払い金が発生していると考えてよいでしょう。なぜなら、利息制限法で引直計算した結果、残債務が残る場合には、賃金業者は自らの貸付金の放棄などせずに、必ず残債務の支払いを請求してくるからです。
ゼロ和解とは、過払い返還請求権の放棄を意味しますので、その申し出を安易に受け入れる事は禁物です。
ゼロ和解のメリット、デメリット
ゼロ和解をすると、毎月の返済をストップできて、借金問題からも、賃金業者との煩わしい関係からも解放されるので、一見すると借り手にとってもメリットのある解決案のように思えます。確かに、過払い金額が少額の場合には、裁判にかかる時間と手間を考えると、少額の過払い金の回収を諦め、早々にゼロ和解した方がいいこともあるでしょう。
しかし、法律上の大きな問題点がなく、裁判で確実に過払い金全額請求が認められるような事案では、裁判に持ち込めば、賃金業者は、反訴判決を避けすぐに和解するでしょう。裁判を起こせば、賃金業者も態度を変えてくることが多いのです。そのような事案では、交渉段階では安易にゼロ和解を受け入れて、過払い金返還請求権を放棄することは得策ではありません。
賃金業者とゼロ和解をするメリットは、早期解決のみです。
過払い金は、借り手の重要な財産です。過払い金を回収できれば、それをほかの借金の返済にあてたり、今後の生活費や滞納納税などの支払いに回すことができます。大きな争点がなく、確実に過払い金の返還請求が認められる事案では、借りて本人でも裁判さえ起こせば、賃金業者との間で、5%の利息を含めてほぼ満額での和解をすることも十分に可能です。
また、安易なゼロ和解は、法律上の原因を欠く違法な収益を賃金業者に留め置く結果となります。利息制限法に違反する和解はしないという原則的な対応をして、賃金業者に利息制限法を尊守させる事が必要です。

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